作曲:山田耕筰
・内容:ピアノピース
・発売日:2024年4月28日
収録曲&解説
「A Melodie on an Autumn day(秋の日のメロディー)」
手稿譜に日付はないが、おそらく1909年の作品。同時期に書かれた『無言歌』や『憧憬の曲』(Volume 1収録)などと同様に、シューベルトやメンデルスゾーンなどを想起させる作風だが、和声の流れやパッセージの音選びなどにおいて、非常に高い完成度を持ったピアノ曲として仕上がっている。
「Bridal March(祝婚儀)」
正確な日付は不明だが、おそらく1909年の作品。冒頭のファンファーレとコラール風の旋律は、メンデルスゾーンの「結婚行進曲」を想起させるが(おそらく山田自身も意識していたであろう)、中盤からは独自の展開を見せる。結婚祝いの作品なのだろうが、三三九度などの日本的な発想を盛り込まない辺りに、日本の伝統風俗に特化されない山田独自のスタンスを感じさせる。
「March(行進曲)」
本作も正式な日付は不明だが、おそらく1909年の作品。ヨーロッパの宮廷やサロンなどの社交場で好まれた、シュトラウス楽団の作品を思わせる、優雅な作品である。楽曲の構成、ピアノの書法なども手慣れたもので、作曲家山田耕筰になるための準備が整ったと思わせる作品。この後、山田はチェロとピアノのために作曲した『ロマンス』が師のヴェルクマイスターの目に止まり、その作品に感服したヴェルクマイスターが、友人であった岩崎小弥太子爵に山田を紹介したことで、山田のベルリン留学への道が拓かれるのである。
「Menuetto(メヌエット)」
ベルリン留学中に山田はレオポルト・カール・ヴォルフの指導のもと、課題としてたくさんのフーガやロンド、変奏曲、シャコンヌなどを書いているが、その中には単なる課題ではなく、しっかりとした作品として成立されたものも少なくない。1910年に書かれた本作も、課題とするには捨てがたい“作品”としてのクオリティと魅力を持った作品であり、1963年刊行の「山田耕筰全集10 ピアノ曲1」(第一法規出版)にも収録されている。
「Sonatine I, II(ソナチネ I、II)」
留学中の1911年11月に書かれた作品。第1曲、第2曲ともに、反復を伴った伝統的な三部形式で書かれており、形式習得の課題などのために書かれた2つの単一楽章作品をまとめたものと思われる。なお、1917年に書かれた『ソナチネ(コドモのソナタ)』はアレグロ、アンダンテ、ロンディネットと書き分けられた3楽章のソナチネとして成立しており、楽章における概念も異なっている。古典派的な美しさを湛えた作品であり、未刊行に終わったものの、第一法規出版「山田耕筰全集 11 ピアノ曲2」に収録するための版下まで作成されていた。
作曲:山田耕筰
・内容:ピアノピース
・発売日:2024年4月28日
収録曲&解説
「A Melodie on an Autumn day(秋の日のメロディー)」
手稿譜に日付はないが、おそらく1909年の作品。同時期に書かれた『無言歌』や『憧憬の曲』(Volume 1収録)などと同様に、シューベルトやメンデルスゾーンなどを想起させる作風だが、和声の流れやパッセージの音選びなどにおいて、非常に高い完成度を持ったピアノ曲として仕上がっている。
「Bridal March(祝婚儀)」
正確な日付は不明だが、おそらく1909年の作品。冒頭のファンファーレとコラール風の旋律は、メンデルスゾーンの「結婚行進曲」を想起させるが(おそらく山田自身も意識していたであろう)、中盤からは独自の展開を見せる。結婚祝いの作品なのだろうが、三三九度などの日本的な発想を盛り込まない辺りに、日本の伝統風俗に特化されない山田独自のスタンスを感じさせる。
「March(行進曲)」
本作も正式な日付は不明だが、おそらく1909年の作品。ヨーロッパの宮廷やサロンなどの社交場で好まれた、シュトラウス楽団の作品を思わせる、優雅な作品である。楽曲の構成、ピアノの書法なども手慣れたもので、作曲家山田耕筰になるための準備が整ったと思わせる作品。この後、山田はチェロとピアノのために作曲した『ロマンス』が師のヴェルクマイスターの目に止まり、その作品に感服したヴェルクマイスターが、友人であった岩崎小弥太子爵に山田を紹介したことで、山田のベルリン留学への道が拓かれるのである。
「Menuetto(メヌエット)」
ベルリン留学中に山田はレオポルト・カール・ヴォルフの指導のもと、課題としてたくさんのフーガやロンド、変奏曲、シャコンヌなどを書いているが、その中には単なる課題ではなく、しっかりとした作品として成立されたものも少なくない。1910年に書かれた本作も、課題とするには捨てがたい“作品”としてのクオリティと魅力を持った作品であり、1963年刊行の「山田耕筰全集10 ピアノ曲1」(第一法規出版)にも収録されている。
「Sonatine I, II(ソナチネ I、II)」
留学中の1911年11月に書かれた作品。第1曲、第2曲ともに、反復を伴った伝統的な三部形式で書かれており、形式習得の課題などのために書かれた2つの単一楽章作品をまとめたものと思われる。なお、1917年に書かれた『ソナチネ(コドモのソナタ)』はアレグロ、アンダンテ、ロンディネットと書き分けられた3楽章のソナチネとして成立しており、楽章における概念も異なっている。古典派的な美しさを湛えた作品であり、未刊行に終わったものの、第一法規出版「山田耕筰全集 11 ピアノ曲2」に収録するための版下まで作成されていた。