作曲:山田耕筰
・内容:スタディスコア
・B5判
・64ページ
・発売日:2017年6月7日
解説
《マグダラのマリア》のスコアにはパントマイムの動きを模したような動と静の交錯などの他に、楽器別に強弱を変化させることで音色を変えたり、同音を楽器を変えて鳴らす「音色旋律」の技法が各所で駆使されている。管弦楽を想定してピアノ版を作成した作品には、先述の舞踊詩《青い焔》の他に、ピアノ組曲《源氏楽帖》などもあり、山田の作曲の通例上《マグダラのマリア》もまずはピアノ・スケッチが作成されている。しかし《青い焔》や《源氏楽帖》が作曲者のピアノで初演されているにもかかわらず、《マグダラのマリア》はピアノ版での上演に踏み切らなかったのは、こうした管弦楽ならではの仕掛けが多用されているからであろう。山田本人が「自分は“色彩家”である」と言ったように、彼は管弦楽作品ではもちろん、ピアノ曲や歌曲においても音から繊細な色彩を引き出すことに長けている。その中でも《マグダラのマリア》の色彩感はとりわけ見事である。管弦楽団でさえも黎明期であった日本で、これほどのスコアを書いた偉大な先達に心より感服すると同時に、最大限の敬意を表したい。また、長い間衆目に触れることのなかったこの傑作スコアを、手に取りやすいミニチュア・スコアという形で公開できることは大変喜ばしいことである。ぜひとも偉大な先達が描いた雄大な音絵巻に浸って頂きたい。
(校訂:久松義恭)
~本書掲載文より一部抜粋
音源情報
日本作曲家選輯/山田耕筰:長唄交響曲「鶴亀」、明治頌歌
湯浅卓夫&東京都交響楽団
販売元:Naxos
作曲:山田耕筰
・内容:スタディスコア
・B5判
・64ページ
・発売日:2017年6月7日
解説
《マグダラのマリア》のスコアにはパントマイムの動きを模したような動と静の交錯などの他に、楽器別に強弱を変化させることで音色を変えたり、同音を楽器を変えて鳴らす「音色旋律」の技法が各所で駆使されている。管弦楽を想定してピアノ版を作成した作品には、先述の舞踊詩《青い焔》の他に、ピアノ組曲《源氏楽帖》などもあり、山田の作曲の通例上《マグダラのマリア》もまずはピアノ・スケッチが作成されている。しかし《青い焔》や《源氏楽帖》が作曲者のピアノで初演されているにもかかわらず、《マグダラのマリア》はピアノ版での上演に踏み切らなかったのは、こうした管弦楽ならではの仕掛けが多用されているからであろう。山田本人が「自分は“色彩家”である」と言ったように、彼は管弦楽作品ではもちろん、ピアノ曲や歌曲においても音から繊細な色彩を引き出すことに長けている。その中でも《マグダラのマリア》の色彩感はとりわけ見事である。管弦楽団でさえも黎明期であった日本で、これほどのスコアを書いた偉大な先達に心より感服すると同時に、最大限の敬意を表したい。また、長い間衆目に触れることのなかったこの傑作スコアを、手に取りやすいミニチュア・スコアという形で公開できることは大変喜ばしいことである。ぜひとも偉大な先達が描いた雄大な音絵巻に浸って頂きたい。
(校訂:久松義恭)
~本書掲載文より一部抜粋
音源情報
日本作曲家選輯/山田耕筰:長唄交響曲「鶴亀」、明治頌歌
湯浅卓夫&東京都交響楽団
販売元:Naxos