ぼーん、ぼーん、ぼーん、
古時計が時を告げる音。そこにファンファーレが鳴り響きます。
ひとりの赤ちゃんがこの世に生を受け、人生の時計が時を刻みはじめるように。
今幕を閉じたおじいさんの美しい人生を、天が祝福するかのように。

「大きな古時計」のシンプルで美しいメロディには、アコーディオンの音色がしっくりくると感じていました。１台でも十分すてきな演奏ができるけれど、音が重ねられるアンサンブルにしてみたら、さらに豊かな響きや旋律の動きによって新しい世界が描けるのでは…と想像を膨らませたところから、この楽譜が生まれました。

人生にはいろんなことがありますね。しっかり根を張って自分らしく生きたいと願うけれど、時にはくじけそうになったり落ち込んだり、または時の流れに身をまかせてたおやかにしなやかに生きなくてはならないこともあるかもしれません。
おじいさんの人生の情景と古時計に思いをはせ、どうぞそこにご自身の人生も織り込んで、演奏してください。そして仲間たちと一緒に、この作品を育てることでじんわりと幸せを感じていただけたとしたら、とてもうれしく思います。

荒木奈緒子